これは手動式のタイプライタです。
私が高校の時に買ったのですが、結局、全然使いませんでした。
タイプライタ上部の円筒形をした部分に紙を巻き付けます。紙の前にある黒と赤のテープがインクリボンです。
紙のキーボード側、タイプライタの内部となりますが、針金状のものの先に先に活字の付いたものが並んでいます。
キーを少し押すと、該当する活字が出てきます。これはキーを押すとテコの原理で活字が出てくるようになっています。手動式ってことですね。
(写真の位置関係は、上のものと逆になりますが)より強くキーを押すと、活字が紙にぶつかります。その際、紙と活字の間にインクリボンがあるので、活字が紙に写ることになります(すいません。この写真を撮ったときには、インクリボンがカラカラに乾いてしまっていて、実際の印字はされていません)。
紙が巻き付いている部分、これをキャリッジ(carriage)と言いますが、この部分が1文字打つ度に1文字分左に移動するようにできています。現在家庭などで使われているインクジェット式のプリンタは印字部分の方が移動しますが、手動式タイプライタの場合は、紙の方が移動するという訳です。しかし、ドンドン打っていくと、紙の右端まで到達してしまいます(この時、チンとベルが鳴るようになっています。もちろん、どこでベルを鳴らすかも手動で設定することになりますがね)。
こうなったらば、キャリッジを右端まで戻し、再び紙の左側から文字が打てるようにします。この操作がキャリッジ リターン(carriage return)です。ただし、単にキャリッジを戻しただけでは同じ行に再び打ってしまうことになります。キャリッジ リターンの操作を行うときは、キャリッジ左側に付いている(写真では銀色の)レバーを使うのですが、このレバーを使ってキャリッジ リターンを行うと、同時に紙が一行分上の方に送られるようにできています。この紙送りがライン フィード(line feed)です。結局、次の行の先頭から打ち始めるにはキャリッジ リターンとライン フィードの2つの操作が必要ということになります(それをレバー一つで操作できるように作られている)。
ついでに、キーボードの配置が何故あのようになっているかの説明もしておきます。活字同士がほぼ同時に立ち上がってしまうと、場合によってはこの写真のように活字が絡んでしまいます。これはすごいスピードでタイピングを行った時に、ほぼ同時に立ち上がる活字の位置関係により発生するものです。活字の絡みが起こらないようにするために、英語でどの文字が使われるかなどの統計を元にレミントン社というタイプライタメーカが開発したのが現在のキーボードの配列です。もちろん、打つ頻度の高い文字は打ちやすい位置にするなどの配慮もなされていますが、それだけで決まったものではないということです。キーが絡むなどということはPCのキーボードの場合には配慮する必要がないので、純粋に英文を打つ際に適した配列のキーボードというものも存在します。しかし、長年多くの人が馴染んできた現在のキー配列から抜け出すのはなかなか難しいようで、この新しい配列のキーボードはあまり売れていないようです。なお、キーの配列をABC順などとした場合には、初心者が1本指で打つ場合には便利かも知れませんが、慣れてきて、10本の指でキーを打つ場合には全く適さない配列となってしまいます。