研究・ゼミ紹介

企業研究の面白さと会計情報の関係

2021年09月16日

経営学プログラム
ゼミ

 有元ゼミでは、企業に関する研究を行っています。私達は、原則として、企業の外部の利害関係者であり、企業の内部の情報にはアクセスできません。よって、公表されている情報から企業内部で行われていつこと想像を巡らせながら、企業の分析を行います。ここで重要な役割を果たすのが、財務諸表(決算書)で公表される会計の情報です。会計の情報は、誰が見ても同じである客観的な情報を提供してくれます。よって、会計の情報を分析できることは、企業分析の第一歩といえます。
 
 学生の多くは、会計の数値に対する興味より、その企業のビジネスを知りたいと考えます。例えば、ガンホーやミクシィなどいわゆるソシャゲでビジネスを行っている企業を考えてみてください。簿記を少しでも学んだことがあれば、決算書からこれらの企業の業績を知ることができます。今期の売上は伸びているな、などの判断ができます。
 
 でも、こうした業界のビジネス構造は、どの程度理解できているでしょうか。わたくしたちは、モノを購入する際にお金を支払います。買った人はそのモノを独占的に使用することができますし、売った企業は売上を獲得します。では、課金ビジネスでは同じ説明ができるでしょうか。課金ビジネスは、お金を払う人と独占的に使用する(サービスを利用する)人が、イコールではありません。一部の課金ユーザーが多くのユーザーへのサービス提供を支えていると考えられます。モノを作って売るというビジネスとは全く異なるビジネス構造です。売上を獲得するためにコストを払うという概念が新しいと言えるかもしれません。その理解なしに財務諸表の分析を行っても、読み取れることは限られるでしょう。
 
 企業を見る目には、会計情報は不可欠です。しかし、それだけでは不十分です。当該企業のビジネスモデル、業界動向、新聞報道、口コミ、様々なものを組み合わせてはじめて企業の本質が見えてくるものです。さらに、近年は、ビジネスの成功には社会貢献や多様性への理解が大きく関係しているという考え方もあります。単に製品やサービスだけでなく、企業全体として何を行っているのかも大切です。ぜひ、企業ホームページを隅々まで見てみてください。企業を見るためには様々な情報に触れることが大切です。



(プレゼンは感染対策を実施しながら対面で実施しています。早い収束を願うばかりですね。)

 

有元 知史 准教授
経済科学部 経営学プログラム

※掲載内容は取材当時のものです